そうして健一と遊園地を出た。
カミングアウトの後だから
私も健一も沈黙。


ゲイ…ゲイ?……ゲイ!

頭の中はゲイの言葉でいっぱい。



「なあ。ゲイだからさ
俺ら別れたほうがいいよな?」


ああああああああああ
そうだった。
結局最後は別れてしまうのか。

私は思っていることを
そのまま健一に伝えた。
「私は健一が好き!」


「そっか‥…」


あ、私にドキドキしないだけだったら
ゲイってわけにならないよね?


「ゲイってことは誰を好きになったの?」


そういうと
今までみたことのないくらい
顔を赤くして

「…隣のクラスの大倉。」


隣のクラスの大倉ってことは
私のクラスの大倉……大倉?


大倉ってあのゴリラ?
ゴリラに私は負けたのか?

こんなつらい努力をしたのに
ゴリラに……


聞くべきではなかったと
後で後悔した。


駅で私たちは別れ
家へ向かった。
泣きそうになったけど
必死にがまんした。

家につき
クマのぬいぐるみに抱きつき
私は叫んだ。




「私の努力と心を返せー健一!」




でもクマのぬいぐるみは
私の言葉に何も言わなかった……


そしてもう一言…

「現実に返せー!」