―お前は俺が護ってやるって言ってんだ!






「梨乃さま?」




梨乃はハッとして顔をあげた。
視線を向けるとセレナが不思議そうに首をかしげる。




「どうかされましたか?なにやらぼんやりしていたようですが」

「な、なんでもないの」




まさか、シドに言われたことを思い返したなんて恥ずかしくて言えず梨乃は誤魔化すように笑った。
セレナは首をかしげながらクローゼットを開く。

クローゼットというよりも、その広さだけで人ひとりは生活できるんではないかというほどの広さ。
その中には、梨乃の衣装が揃えられていた。




「ドレス、増えてきましたね」

「うん・・・。どれも着慣れないものばっかで落ち着かないのだけど」

「ふふっ。そのうち慣れますよ。きっとお似合いです」



以前より、プリンセスということを受け入れられるようになってきている気がした。
それは、騎士たちが懸命に訓練をしている姿を見たことによりその想いはさらに強まった気がした。

逃げてばかりではなく、今いる場所でできる限りの事をしたい。
そう思えるようになった。