あれから。
二人の新婚旅行は無事再開され、予定を少し変更しながらも無事に終えることができた。


魔術師は、梨乃の意向により重い罪は免れ少しの拘束ののちに無事釈放された。
その後は、余生をゆっくりと過ごすのだとそう告げ姿を消した。




「婚儀も落ち着いたし、そろそろ国王の座をシドに譲り渡そうと思っている」




そう国王が言いだしたのは、新婚旅行から戻りひと月もしない頃だった。
国王はまだそれほど歳を召したわけでもなく、普通ならばまだ国王の座を続けることができるはず。

突然の申し出に梨乃をはじめとする城内の者たちは驚いた。




「シドも、すっかり国民に受け入れられている。ズルズルと先延ばしにする理由もないだろう」

「ですが、まだ俺には・・・」



王族としても、まだまだ駆け出しのシドは、戸惑いにそう漏らす。