「大丈夫ですか、プリンセス」



クロウが心配そうに梨乃を覗き込む。
ヘルスター王国から戻った梨乃は、張り詰めていた糸がプツッと切れたように倒れ、熱を出していた。



「う、ん・・・。心配かけてごめんね」

「いえ、そんなことはお気になさらないでください。きっとお疲れが出たんでしょう。ゆっくりお休みください」

「・・・ありがとう」



うつらうつらとまどろむ梨乃は次第に眠りに落ち、静かな寝息を立て始めた。
熱で上気した頬に流れる汗をそっとタオルで拭う。




「では。少し私は外しますので、プリンセスをお願いします」

「はい。お任せください」



セレナとミオに後を託すと、クロウは部屋を出る。
心配そうに一度梨乃の部屋を振り返った後、切り替えるようにさっそうと歩きだした。