「放してっ!クロウ!私、行かなきゃ!」

「プリンセス・・・っ」

「このままなんて嫌!こんなさよならなんて、ないよ!」



望んでない。
こんな事は。

勝手に消えることなんて、許さない。




「連れて行きなさい。プリンセスとして命令します。私を、シドのもとに!」




キッと睨みつけるように言った梨乃に、クロウは息をのんだ。
どうしてそうなのだ。

うまくいかない。
なんのための教育係だ。





「・・・わかりました、プリンセスの仰せのままに」




結局、あなたの想いを叶えたいと思ってしまうのだから。
彼女の声なら、届くかもしれないと。


どこかで、願いをかけている。



ずるい。




なんてずるい人間なのだろう。