だって、もういないんだから。

 いない人を思うのはすごく空虚で、むなしかった。

 辛かった。

 あぁ、思いだした。

「それでいいんじゃねぇの?ため込み過ぎずに吐き出しちゃえば。じゃないと次にも進めないしさ」

 南はそう言いながら私の頭をぽんぽんと叩いた。

 まるで、よくできましたと言わんばかりに。

「・・・ありがと、南」

 ぼそりと言った言葉は届いていたのか、

「どういたしまして」

 と南は微笑んだ。

 不覚にもどきりとしたことは内緒にしておこう。