いや、ちょっと待って。

 嫌だ。待って!

「やめて!」

 私が声を荒げたことによって南が徐々に離れていった。

「・・・ごめん、南のいいたいこと分かったから」

 やっと自分の気持ちが分かった。

「私はまだ、アイツの事が好きなんだと思う。ううん、好きなんだよ。そうだ、思い出した。分からないなんて嘘だ。私はっ、アイツがもういないことを認めたくないんだ」

 だんだんと震えていく声とにじんでいく視界にゆっくりと思いだす。

 認めたくないから、分からないにした。

 だって、それが一番無難だから。

 嫌い、になんて出来なかった。

 だけど、好きでいるのは辛かった。