「えっと？」

　混乱する私をよそに南はさらに追い打ちをかけるように、私を逃がすまいと壁に手をついた。

「なぁ、桜野、さっき気持ちがわからないって言ったけどさ、だったら俺でもいいんだよな？」

　突然切り出された言葉に反応できない。

　俺でもいい？どういう意味でそれを。

　それにこの状況で？

　いろんな考えが頭を回り始めた。

「・・・」

　黙ったままの私を肯定とみなしたのか南の顔が私との距離を縮めていく。

　もう少しすれば、唇が触れあう距離になる。

　そんなことはお構いなしに、南は近づけてくる。