「なぁ、冬華(とうか)」

 クライマックスのパレードを見る隣でハルがつぶやいた。

「ん?」

 ハルと私はかなりの身長差が出てしまうため、遥を見るにはすこし見上げなければいけない。

 そのため、目には遥と綺麗な星空が映った。

「ありがとうな」

 その瞬間、周りの音が遠くに聞こえた。

 パレードの賑やかな音も、観客の笑い声も、何もかも、全て。

 “ありがとう”という短い言葉なのに、どうしてこんな多くの意味とかぶって聞こえてしまうんだろう。

 ねぇ、わざとなの?