とりあえず、何も考えていたくなくて、一心不乱にキーボードを叩いた。


「ーな!さな!さーなー!」

「え?」


いきなり大きな声で呼ばれ、肩をガタガタと揺らされて驚いて知華を見上げる。

「あ、やっと気づいた。お昼行こ!」

「あれ?今日は高梨くんは?」

「朝話聞いてた?!今日はソラくん日帰りで出張だから会社にいないの!」

「あー、そんなこと言ってたかも」

「もー!ぼーっとしすぎ!」


その日は知華とご飯を食べて仕事に戻ってからも、一心不乱にキーボードを叩き続けた。


その日は残業もしたため帰りがとても遅くなった。


「はぁ…」


ため息ばかりついてる気がするな。

そんなことを考えていると、なぜか気づくと彼方くんのお店の前にいた。


ああ。いつもの癖って怖い。

そう思い、駅までの道を歩き、電車に乗って帰った。