「知ってたの?最初から、彼女が結婚してたって。」

「ううん、最初は知らなかった。でも、好きになって彼女のことを知っていく中でそんな話を彼女の口から聞いた。」

「それでも続いていたの?」

「だって好きだったからね。結婚してるってだけでそう簡単には離れられないよ。」

そう言いながら前髪を掻き上げるシュンキがとても男っぽく見えてドキンとする。

「どうなったの?」

なんだか自分がゴシップ好きなおばちゃんみたいに感じてきたけど、聞かずにはいられなかった。

「去年、とりあえず関係は終わったよ。」

「終われたの?」

「多分。」

「多分、って、まだシュンキさんの心には彼女がいるの?」

ドキドキしながら聞く。

シュンキは私にちらっと視線を向けて笑った。

「ミナミさんに出会ったら、彼女の存在が随分小さくなったような気がするよ。」

えー!

嘘でしょ-。

そんなにも簡単に?!

思わず目を見開いてシュンキを見返した。

そして、シュンキはそんな私を見て声を上げて笑った。

「ミナミさんて、本とおもしろいね。あきないよ。」

なんだろ。

さっきまであんなに真剣な話をしていた人物には見えないくらいに笑ってる。

まるで彼女の話が嘘だったみたいに。

でも、笑ってくれる方が私としてもありがたかった。

私の話も相当湿っぽかったから、このまま初デートが湿っぽいままで終わるのは、ちょっとね。