ドラマ好きの何が悪い

カイトは眉間に皺を寄せたまま、ゆっくりとリビングに歩いてきた。

「おっす。」

そして、カイトはシュンキに右手を挙げる。

「おはよう。カイト。」

シュンキはさっきまでの緊張した空気をかき消すように、爽やかな笑顔で答えた。

カイトは尚も不満そうな顔でシュンキの座るソファーの下に腰を下ろした。

「お前、まさかのお泊まりかよ?」

カイトはシュンキに向かって聞いた。

シュンキは笑って答えた。

「違うよ。今来たとこ。急に仕事がなくなったから、ミナミさん空いてるかなぁと思って来たんだ。」

「ほんとかよ。わざわざ来なくたってそんなの電話でもいいだろが。」

やけにつっかかるカイトにシュンキは動じることもなく笑顔で頷いた。

「そうだよね。だけどなんだかミナミさんの顔見たくなっちゃってさ。」

顔見たくなっちゃってさ・・・!?

ヤカンが沸くのと当時に私の顔も一気に沸騰した。

「だってさ、ミナミ。」

カイトがリビングの棚の裏から顔を出してわざわざ確認してきた。

無視してカイトのコーヒーを入れた。

「お前、顔真っ赤かになってやんの。久しぶりに男にそんな嬉しいこと言われて舞い上がってんじゃないの?」

カイトの雑音をなるべく耳に入れないようにして、コーヒーをお盆にのせた。

「はい、どうぞ。飲んだらすぐ帰ってね。私たちこれからデートだから。」

「ふん。」

カイトは鼻を鳴らしてコーヒーに口を持っていった。

「あちっ。こんな熱かったらなかなか飲み終わらないっての。早く退散してほしけりゃもっと冷ませっての。」

「あんた、相変わらず減らず口ね。シュンキさんとはえらい違い。」

「相変わらず仲良いね。」

シュンキはそんな私たちを見ながら、少し寂しそうに言った。