「…俺は…夢月と話してる。…邪魔するな」

「…無理だ。あんたが夢月に危害を加えてるからな」


蓮さんと喜一お兄ちゃんが睨み合っている。


こうなったのもあたしのせいだ…。蓮さん…なにも言わずに出ていってごめんね…。


探してくれてたんだよね…?


「…ごめんねっ…ごめっ…うぅっ…」

「夢月っ……」


泣きそうな顔であたしを見つめる蓮さんの顔がぼやける。涙のせいだけじゃなくて、なんだか頭がぼーっとして…。


―ドサッ!!

気づいたら体が動かなかった。指一つ動かせない。体が重い…。



「夢月っ!!しっかりしろ!」


喜一お兄ちゃんはあたしを抱き抱えた。


「…っ…くそっ…!!救急車呼んでくれ!!」


喜一お兄ちゃんは蓮さんに向かって叫ぶ。


「救急車なんか待ってたら時間がかかりすぎる!!俺が抱えて連れて行く!」


蓮さんはあたしを背負った。


「…病院まで案内する。夢月が通ってる病院はここから近いんだ」


喜一お兄ちゃんはそう言って蓮さんに背負われているあたしにコートをかけた。


「…頼む…夢月…死ぬな!!」


蓮さんの悲痛な声が聞こえた。蓮さん……悲しませてごめんね…。それを最後に、意識が途絶えた。