鼻で笑った。


「すぐ戻るって」

「時間ない。こっちは部活がある」


かまわず行こうとした。

大宮の腕が伸びてきて、でっかい手で私を引き止めようとした。

間一髪、身をひるがえす。


大宮は意外そうな表情を浮かべたかと思うと、

次の瞬間、本気で掴みかかってきた。


「ちょっと!」

「かなうと思うなよ」


和風美人が、顔を強ばらせて大宮の袖をつかんだ。


「あっちゃん、やめようよ」



あっちゃん!?

あっちゃんだって!


「オマエ、なにさっきから笑ってんだ」

「その前に、何をマジになってんの?」



会議室から、何事かと顔を出した祐介に言った。


「カバン持ってきて」


三つ巴状態の私たちを確認して、祐介がカバンを持って出てきた。



「勝手なことするな!」


大宮が怒鳴った。



「またね、アッチャン!」


本校を後にした。