大きな鐘の音と共に、後半戦が始まった。
特設のステージに、大宮と石丸さんが進んで行く。
祐介と顔を見合わせた。
「読みが当たったね」
「ですね」
二人とも袴姿だ。
大宮が『槍』、石丸さんが『なぎなた』を手にしている。
おおおっっ!
スタジアムから歓声が沸き上がる。
最初は、ゆっくりだった動きが、
和太鼓の音と共に、段々とスピードを速めてゆく。
王道が一番強い。
まさにそれ。
本当に戦っているみたい。
なぎなたが光り、槍が宙を舞う。
みんな大興奮だ。
「上手い…!」
「昨日、今日の練習じゃないですね。石丸家は古武道の総本家ですから、小さい頃から練習してたんでしょう」
胸にナイフが刺さったように、痛んだ。
ーー幼なじみには敵わないってわけ?ーー
懐かしい元カレの声を思い出した。
ーー何にも?ーー
勝てない…
胸に黒い雲が広がった。
その時、来賓者テントに派手な色が動いたのが見えた。
ママとジョゼだ。
先生や来賓者たちがビックリした顔で見ている。
理事長だけが、揉み手して出迎えている。
さてはママ、いっぱい寄付したな!
ママは理事長と握手すると、愛想笑いはジョゼに任せて、自分はさっさと席についた。
ママが私を見ている。
「勝つんでしょうけど、一応見に来たわ」って顔をして。
私がうなずくより前に、ママはステージに目を移し、
つまらなそうに大宮たちの演舞を見守った。
大宮たちの演舞が静かに終った。
一瞬静まり返ったグラウンドに、どよめきが戻ってきた。
歓声と拍手が止まらない。
大宮のファンらしき一群が、大泣きしている。
「けっきょく、逃げて逃げて、地球一周しちゃった」
祐介が不思議そうに私を見た。
「思いっきり行こう」
祐介がうなずいた。
「光野さんは、ヒルデガルドですよ」
ステージに足を進めた。
「じゃなければ、アテネです」
黄色い歓声に包まれる。
私たちの4分半が始まった。
特設のステージに、大宮と石丸さんが進んで行く。
祐介と顔を見合わせた。
「読みが当たったね」
「ですね」
二人とも袴姿だ。
大宮が『槍』、石丸さんが『なぎなた』を手にしている。
おおおっっ!
スタジアムから歓声が沸き上がる。
最初は、ゆっくりだった動きが、
和太鼓の音と共に、段々とスピードを速めてゆく。
王道が一番強い。
まさにそれ。
本当に戦っているみたい。
なぎなたが光り、槍が宙を舞う。
みんな大興奮だ。
「上手い…!」
「昨日、今日の練習じゃないですね。石丸家は古武道の総本家ですから、小さい頃から練習してたんでしょう」
胸にナイフが刺さったように、痛んだ。
ーー幼なじみには敵わないってわけ?ーー
懐かしい元カレの声を思い出した。
ーー何にも?ーー
勝てない…
胸に黒い雲が広がった。
その時、来賓者テントに派手な色が動いたのが見えた。
ママとジョゼだ。
先生や来賓者たちがビックリした顔で見ている。
理事長だけが、揉み手して出迎えている。
さてはママ、いっぱい寄付したな!
ママは理事長と握手すると、愛想笑いはジョゼに任せて、自分はさっさと席についた。
ママが私を見ている。
「勝つんでしょうけど、一応見に来たわ」って顔をして。
私がうなずくより前に、ママはステージに目を移し、
つまらなそうに大宮たちの演舞を見守った。
大宮たちの演舞が静かに終った。
一瞬静まり返ったグラウンドに、どよめきが戻ってきた。
歓声と拍手が止まらない。
大宮のファンらしき一群が、大泣きしている。
「けっきょく、逃げて逃げて、地球一周しちゃった」
祐介が不思議そうに私を見た。
「思いっきり行こう」
祐介がうなずいた。
「光野さんは、ヒルデガルドですよ」
ステージに足を進めた。
「じゃなければ、アテネです」
黄色い歓声に包まれる。
私たちの4分半が始まった。


