土曜だと言うのに、ママは朝一からエステにネイルに歯医者…。

忙しいのが趣味なんだろう。

ボーイフレンドが来ると言ったら、ジョゼは大喜びだった。


明るい日差しの届くリビングに、色とりどりの野菜が並ぶ。

お手製のバーニャカウダー、美味しいんだよね。


「本当にカフェみたいですね」

祐介が感心する。


「アリガト。ユースケのお菓子も素晴らしい!」

「うちのイチオシ、カキツバターです。本当は『しのび』って品名なんです。和菓子なのに、バター忍ばせてるっていう…」


制服でない祐介は、いつもよりリラックスして見えた。

ノドカも呼べば良かったかな。



昨日の出来事を思い出した。

唇の感触や

自分とは違う、女子とは違う、肌の匂い。


真っ昼間に思い出すと、さすがに恥ずかしい。



「アツい?」


ジョゼが聞いてきた。

顔が赤いのかな。



「大丈夫」

「ごめん。僕のせいで窓が、開けられないですね」

「別に開けるほど暑くはないよ」


祐介は花粉症だそうだ。


「本番は大丈夫?」

「もう甜茶もネトルもサプリで取ってるから。効果感じてますよ」


キレイにフォークを使って、クレープを口に運んでいる。


「タイムテーブルより、演舞を決めないといけないですよね」

「あっちの二人はマジメじゃん?きっと王道でくるよ」

「王道が一番強いんですよ」



パパが居たらなぁ。

パパはフカミの卒業生だ。

在学中は、演舞のプロディースをしていた。

(ちなみにママは女子校で、この時に知り合ったらしい)