二人きりになった部屋で、大宮と向き合った。


でもなんでかな。

大宮とは会ったときから、

ずっと一対一だった気がする。



「俺は、お前のこと意識してる」


大宮が言った。



そんなこと素直に言うんだ。

意外。



「どう思う?」

「なんの裏があるのかと思う」


大宮が笑った。


「オトコいんの?」

「さーね」

「……ごまかすな」



大宮が近づいてきた。

もう目の前にいる。


「逃げないのか」

「逃げない」



大宮の手が、私の後頭部に伸びた。

キスされた。


「これでも?」


キスするの久しぶり。



大宮が舌打ちした。


「ここで笑うか?」

「なんか…儲かった気分」

「なんだよ、それ」


もう一度、唇が重なった。

ちょっとだけ長く。



ウマイ……




思わず、手を肩へ絡めそうになった。

そんな自分に驚いて、そのまま胸板を押したけどビクともしない。

離れない唇を避けるように顔を背けたのに、

大きな手で肩を抱き込み、頭をホールドされた。



不覚にも感動しそうになった。

自分を求めてくれていることに。


力が緩むと、ようやく大宮が息をついた。



「スポーツディ終わったら、俺と付き合えよ」

「石丸さんと付き合ってるんじゃないの?」

「別に付き合ってない。ただの幼なじみ」

「向こうはそう思ってないと思うけど?副将にまでしちゃって」

「一番優秀でヤル気があった。指名するのは当然だろ」


白蛇みたいな石丸さんの顔を思い出した。


「メンドクサイ」


腕をほどいて、カバンを持った。



大宮が当たり前のように言った。

「勝つのは、うちだからな」


言ってやった。

「『うち』じゃなくて『俺』でしょ」