ケンカを売ったからには、勝ちたい。

私は実行委員と協力して、朝練と午後練を始めた。

女子校が足引っ張ってるなんて言われたくない。


ポイント制にして、

貯まるとハグするとか、

一緒にランチを食べるとか、

こうなったら何でもやってやる!



ノドカは不機嫌そうに頬っぺたをふくらませた。


「やだなー。由梨絵さんが後輩に取られちゃう」

「ノドカは特別だよ。気にすることない」


ノドカの顔がパッと華やぐ。


「じゃあ、キスしてっ」

「…いいよ」

「ほ、ほんとう!?」


ノドカの肩をつかみ、自分へ引き寄せた。

「ひゃっ!」

とノドカが声を上げ、

「きゃぁーっ!」

「なんでぇ!?」

ストレッチ指導中の子たちから、悲鳴が聞こえた。



その耳元に唇を寄せ、ささやいた。


「2000ポイントだから、5キロ4セット走ってきて」

「……そ、そ、そそんなの人工呼吸になっちゃうよっ!!」



ブーたれるノドカを横目で見た。


ノドカとキスできるなら、

きっと祐介はフルマラソンだってするのに。




その日の放課後も本校でミーティングがあった。

祐介が言った。


「いつもコッチが出向くというのも納得いかないですね」

「まぁね」

「本校なんて言ってますけど、本来は女子校が本校なんですから」

「えー?なんで?」

「なんでって、聖ヒルデガルドは修道女ですよ。学校法人化されたのは国際が先ですけど、女子校の方が歴史は80年も古いんですから」



へぇ、ものしり~



もう案内もなく、本校の会議室へ向かう。

階段をのぼる途中で、男子生徒の声が聞こえた。