鋼鉄の翼―ゾフィエル

青が青と認識できないまでに濃縮され、

ィィィィィィ――

風が風となる前に体が前進する。

「見つけた!」

加速に加速を見い出す飛翔を見にまとい、

ィィィィィィ――

「モンストル!!」

私は敵の尻についた。

私の接近に勘づいたモンストルが、ヒレを揺らめかせ、再び加速する。

負けるか。

加速しろ、〝ゾフィエル〟。

私の鎧、私の翼!!

ィィィィィィ――




パゥッ!





円形の雲を生み出し、翼の端々から火花が散り出す。

加速の代償ではない。

ィィィィィィ――

〝ゾフィエル〟の本領。

赫灼をまとう飛行。

ィィィィィィ――


モンストルが多角的に瞬発力を発揮する。

逃がさない。追う。

空を切り取るための下書きのように、ヤツと私、雲を引き合う。

ピピピピピピ……!

ゴーグルの端でけたたましく明滅するスピードメーターが、三桁をとうに過ぎている。

まもなく、四桁――音速になる。

前方、逃走の気を見せているモンストルの嘴が、開いた。

まるで投網のように、黄金色の光線が放たれる。

線条は宙でねじれ、私へ。