鋼鉄の翼―ゾフィエル

「戦闘へ入るっ!!」

応答を待たない報告を入れ、戦闘形態へ移行命令を下す。

脊髄と連結されている鎧の肩から、二門のガトリングがバタフライナイフのように飛び出す。

「らぁああああっ!」

ガガガガガガガッ!!

閃光をまといながら殺到する弾丸が、モンストルの表皮に着弾する。

が、落ちない。

おのれ、甲殻の強度が増している。

モンストルが、両翼を大きく動かした。その体が、刹那の間に上空へ移動している。海中に生息するエイでは考えられない、機動性だ。

そのまま、モンストルはさらに二度、三度、ヒレのような翼をはためかせ、空を翻身していく。

私を無視して、ピュラクスへのみ標的を絞っているのか。

が、

「なめるな!」

〝ゾフィエル〟の力を見くびってもらっては、困る。

攻撃形態から、超高速形態へ移行。

肩のガトリングが収納され、翼がまるでナイフの束の如く、鋭利になる。

全体的に、鏃のような形態。

「ゆくぞ!!」

ドゥッ、と、鈍い音がしたのは遥か遥か後方であり、私の体は秒に満たない速度でモンストルへ突進していく。

ヤツが、こちらの動きに気付いた!