応接室に通してお客さまの目の前にそっとお茶と名刺を差し出した。


【World Peace所長秘書 白石里乃】


これが私の肩書きだ。


「はじめまして。三木の秘書をしております白石里乃と「私、先日こちらの所長さんと知り合ってとても親身にわたしの相談に乗っていただたいて……。なにか困ったことがあったらおいで、とここの名刺をいただいたんです」


おいおい、まだ私話てる最中なんですけどぉ。


という声は心に閉まって、美女が頬を赤く染めながら渡してきた名刺に視線を落とした。


渡された名刺には【World Peace 代表・三木 静夜】と書かれていた。


「私、所長さんが帰ってくるまで待たせてもらいます!」


私をまっすぐ見つめる瞳には「だからお前はとっとと下がれ」というメッセージに感じる。


美女は目力も強いらしい。


「……では、こちらでお待ちください」


応接室を出て小さくため息をつく。


「白石、また?」


面白そうにそのやり取りを見ていたのはこのWorld Peaceのスタッフである新庄まどかさん。



「えぇ、また、です」


また、という言葉を強調するとまどかさんは苦笑いをしていた。