私の隣にいる三木さんは上機嫌に鼻歌なんか歌っちゃっている。


聞いたことがないけど鼻歌が英語って凄い。


「里乃ちゃん。お寿司とすき焼き、どっちがいい?」


「どっち、とは?」


「さっきの依頼者さん、すごい景気の良い人だったからさ。みんなでパァっとごはん食べに行こうよ」


そういうことか。


確かにあの依頼者さん、上品に巻かれた髪の毛に爪にはこれでもかってくらいキラキラと装飾が施されていて、いくつもの石の大きな指輪、そしてハイブランドの服を着ていたし。


確かにセレブな感じだったけど。


「ダメです。そうやって使っちゃうと何にも残らないじゃないですか。もっと違うことに使いましょうよ」


「うーん。違うことか。例えば?」


「例えば、と言われても…。あっ、あれ欲しいです!ウォーターサーバー!」


事務所にあったら便利だし、みんなも使えるし。


「里乃ちゃんは欲がない子だね。そんなんでいいの?」


「それがいいんです」


「わかった。じゃあ良いやつ探しておくよ」


そう言ってわたしの頭をポンっと撫でる。


ドキッとするけど、私の扱いメロちゃんと同じじゃないか?