こんな感情は片思いのころにはなかったな。私はこっそりと涙を零す。彼を見ているだけで幸せで、ちょっとしたことで落ち込んだり楽しくなったり興奮したりしていたあの頃には。

 今はきっと、あれとは全然違うのだ。

 気持ちはハッキリと貰ったのに―――――――――こんなに寂しいだなんて。

「ああ・・・両思いになったって、バラ色ばかりじゃないのよね・・・」

 ハッピーエンドが好きで、小説サイトでもハッピーエンドの作品ばかりを読んできた。それに自分が書くようになってからも、必ず主人公はハッピーになる、そんな結果にしてきた。

 だけど現実は。

 そうだよねえ~・・・こんな風に、本当に色々な要素が絡んでくるんだよねえ~・・・。

 はあ、とため息。

 やっぱり眠れない。

 私は仕方ないと、眠るのを諦めて起き上がった。

 こういう時は作品を書こう。それも、すんごくハッピーな結末になるように。バラ色で素敵な現実逃避をするのだ。あと5ページほどで終わることが出来るはずの『あの雨上がりの公園で』を、完結させてしまおう。

 そう決めるとストーブをつけて、お湯をわかし、スープをいれる。パソコンの電源をいれて、暗い部屋の中、私はパソコンへ向き直った。

 自分の気持ちがハッキリして、諸問題も片付いた美春が隼人に会いに行く。二人は最初ぎこちないけれど、その内顔を見合わせて笑顔になる。彼は彼女の手をとって、言うのだ。

『俺はお前が、ずっと前から好きだった』

 美春は答える。

『そんなこと、とっくに知ってましたよ』

 太陽が輝く中、二人は笑いあう。そして―――――――――