ふと後ろから声をかけられた。 振り返ると、私の知っている顔だった。 肩に軽く掛かる程度のふわふわパーマ。 気合の入ったメイクに、ぱっちりとした二重まぶた。 「……美月?」 「わっ、桜だ! 化粧してないから一瞬誰かと思ったよー!」 私に声をかけてきたのは、友達の猪又(いのまた) 美月(みづき)だった。