えーと……全員もれなく見たことがある顔だ。 ん? と言うか一番先頭にいる奴って――。 「ちょっと、よろしいかしら?」 率先して前を歩いていた女生徒が、私と美月に声を掛けてきた。 凛として涼やかな声音だ。 言葉遣いからも育ちの良さが見受けられる。 それに何より、綺麗に手入れされた長い黒髪、それを掻き上げる白く細い手から溢れるお嬢様オーラ。