「ねぇ、見て…夕日が沈んで行くよ」


ゆっくりとオレンジ色が沈んでいく。


その光景は2年前に見た光景に似ていて心に切なさを感じる。



「あの時と一緒だな…」



そう思い出すのは私だけではなく、同じ経験をしている彼も思い出していたのか小さな声で呟いた。



「最初と最後の日が同じだなんて…私たちらしいね」



後ろから彼が席を立つ音が聞こえると、今度は彼の足音がすぐ後ろで止まる音が静かに聞こえた。



「さっきの返事、教えてよ」


私は振り返らず彼に問い掛ける。



「そうだな」


「勿体振るね」


「急かしてもな…うん、分かった」


「え…?」


外が薄暗くなったせいで窓ガラスに彼が反射して映ったせいで振り返らなくても彼の表情が分かってしまった。


「いいよ」


さっきまで笑っていたのに…。


「別れようか」


「……」


「……俺、日誌提出しに行ってくるわ」


「分かった」



窓ガラス越しに見える彼が私の後ろから離れて日誌を持って教室を出て行った。