「よしっ、終わった」


「お疲れ様」


「他人事みたいに言いやがって。

お前も日直だっただろ?手伝えよ」


「なに言ってんの、今日は変わってもらってないよ」


「え…まじで?」


「うん、だから今日は何も手伝ってないでしょ?

上手い具合にみっちゃんに全部やらされちゃったね」


「……そうだったんだ」


「…そうよ」


「……じゃあ今日の朝からサインは出てたのか」


「……」



息を吐き出して、彼は静かに担当の欄から【秋元】を消しゴムで消すと

【迫田】の隣りにみっちゃんの名字、【佐々木】を書いた。


【佐々木】と書かれた字は先ほど書かれていた【秋元】と違って殴り書きで汚くて読みづらいものだった。


彼は全部を書き終わると、じっとページを見つめる。



「これで最後なんだな」


「そうだね」


鞄からお気に入りの青色で花柄が散りばめられたマフラーを取り出すと、


椅子から立ち上がって首にマフラーを巻きながら窓際に近づいた。