スポーツの中でも武道を得意としている俺はもちろん、そのような失態をおかさなかった。 だが、今回ばかりは勝手が違う。 ーーそう、そもそもの原因はこの男にある。 双葉が俺を突き飛ばしたりしなければ。 体勢を崩した彼女をきちんと支えてあげられていたし、俺もあのように無様な姿で倒れることもなかった。 「なんだつまらない。突き飛ばしたのが僕だって気づいていたんだ?」 悪びれることなく、双葉はそう言った。