面会が終わり、桐川さん達と外で別れ

見送ってから




もう一度中へ




「涼は部屋に戻っている こちらへ」



社長が介護士と一緒に俺達を待っていた



実は、社長から俺達4人にだけ
話があると言われていたのだ



「大きな声を出さないでくれ」



そう言われて、名前のない部屋の隣

小さな部屋に通された


「涼の部屋は、患者の様子を観察するための部屋だ
精神鑑定前の囚人とかのね」
 

マジックミラー?


田 「それで…どうしてこんな部屋に?」

社 「わからないことがあるんだ…」

介 「私、涼ちゃんのところに行きますね」

社 「お願いします」






涼の部屋は、外から鍵がかけてある


絨毯の上で女の子の人形を抱っこして

積み木を積み上げて遊んでいる、涼


「わっ!涼ちゃん~こんなに散らかして!
ちゃんとお片付けしないと!」

介護士がそう言うと

コクンと頷く

そして、人形を抱っこしたまま

箱に玩具をしまう


「お父さんやお友達は、もう帰ったよ
さみしい?」

横に首を振る

そして、人形をつつく

「あかりちゃんがいるもんね!
涼ちゃん、ボタン押してね!」

コクンと頷き、人形を撫でる

介護士が部屋を出て、戻って来た




朱 「あかりちゃんって…?」

介 「スケッチブックにあかりちゃんって
  名前が出てくるから、去年のクリスマ
  スにプレゼントしたんです!」

田 「ぷっ!」

朱 「俺が朱里です!」

介 「え!ごめんなさい!てっきり女の子
  だと…」



しばらく、涼を見ていたが特に変わらない

折り紙したり、玩具を出して遊んだり



片付けた物が、同じように散らかる



そして、いつも持っている鞄をあさると

何かを口に入れた


介 「やっぱり! 行って来ます!」


介護士が部屋に入って、ボタンを押して
応援を呼び

2人がかりで押さえつけて、口の中の物を
出す


すぐに隣接した病院から医者が来て

朦朧としてる涼を診る


ほどかれた手を伸ばして、人形の手を握ると、そのまま意識を飛ばした


「アルコールの入ったチョコレートでした」