「水汲んできたよ~!!」
夏乃がバケツに水を汲んで戻ってきた。
「お疲れ~!」
志保はあたしの頭から足をどけた。
あたしは寝る体勢になっていたところから座る体勢へと戻る。
あたま……じんじんする。
顔も、赤くなってるかな。
痛い。
あたしは右の頬を手のひらでこする。
「はい志保♪」
「ありがと、もっと水多くてもよかったのに~」
「結構重いんだもん~」
「ま、いいや!ありがとね♪」
まるで世間話のように会話する志保と夏乃。
だけどその内容はとんでもない。
でも、2人が話している隙に逃げることができたかもしれないけど、あたしは逃げようなんて思わなかった。
どうせ、追いかけられて捕まるし。
逃げたらもっとひどいことされるかもだし。
っていうか、人数多いし逃げる前に抑えられるし。
水かけられるくらい、別にたいしたことない。
「バシャッといこ~!!」
志保はバケツを構える。
たいしたこと、ない。
「いっくよ~!!」
バッシャア!
たいしたこと……
ない……。

