あたしは自力でなんとか立ち上がり、教室を出てトイレへ向かった。
フラフラとした足どり。
足に力が入らない……。
体中がズキズキと痛む。
トイレに到着し個室の中に入った。
フタを閉じた便器に座るあたし。
……痛いなぁもう。
どうしてここまでされなきゃいけないの。
あたし何もしてないじゃん。
……志保。
絶対許せない。
絶対許さない。
あんただけは……絶対に許さない!!
嫌いになったならそれはしょうがないかもしれない。
だけど、だからっていじめる必要なんてないでしょ。
なんなの?
「遊び道具」って。
バカにしてんの?
ムカつく。
こんな感情はじめて。
今までは腹が立つよりもショックの方が上だった。
ツラくて悲しくて、寂しくて不安だらけ。
そんなあたしに「ムカつく」なんて感情、どこにもなかった。
……ううん。
出てこなかった。
きっとどこかに隠れてた。
隠されてた。
腹が立つことよりも、裏切られたショックの方が優先されて、
ムカつく感情はどこか隅の方にやられていたんだ。
「どうして?」
「志保、嘘でしょ?」
そんなことばかり頭の中で駆け巡っていた。
「嘘だと言ってほしい」
「こんな現実受け入れたくない」
「こんなの信じない」
そうやってあたしの心は現実から逃げていた。
志保に裏切られた現実なんて、信じられるわけがなかった。
理解してもしきれない。
そんな毎日。
ツラくてツラくて、だけど夢なんじゃないかって
そう思いたかった。

