「志保?」
あたしは背を向ける志保に呼びかける。
「……。」
なに、この、雰囲気……。
なんで無視するの?
志保……?
「志保」
あたしはまた志保に呼びかけるけど、志保はあたしの方に振り向くことはしなかった。
「……なんで、無視するの?」
「……。」
「志保!」
何も答えてくれない志保。
どうして?
志保、なんで無視するの?
「志保、その子だぁれ?」
志保の周りにいた女子が口を開いた。
机に両手で頬杖をついてこちらを見てそう言うのは、愛梨。
「だぁれ?」って、今更何言ってんの?
だってあたしのこと、知ってるじゃん。
なに、この変な感じ。
志保……。
こっちを向いて。
「唯、おはよう!」って
笑いかけてよ。
いつものようにさ。
あ、わかった!
何かのイタズラでしょ?
絶対そう!
あれ、でもクラスの女子たちと、あたしにイタズラするくらい仲良かったっけ??
話すくらいならあるけど
そんなこと頼めるくらいの深い仲ではなかったハズ。
いや、でももしかすると
案外そういうのは面白がってみんなでイタズラの計画立ててたのかもしれないし
あ、そうだ絶対。
あたしを脅かすつもりなんだ。
あたしを無視して、あたしが焦ったところに志保が
「なーんて、嘘だよ〜(笑)」
とか言って、無邪気に笑ってくるんだ。
絶対そう。
絶対。
絶対……。

