そのことを聞き知ったとき、レイモンドは、世界が暗転したかのように目の前が黒くなったのを感じた。





初めて、自分とエレティナの身分の違いというものを、まざまざと思い知った。




いくら王族の血を引く家系とはいえ、母が王族の出とはいえ、れっきとした王女であるエレティナを自らの手の中におさめることは不可能なのだと、痛いくらいに思い知った。





それに気づかなかった自分を、この上もない愚か者だと罵り、蔑んだ。





しかし、今更どうなるものでもない。




エレティナは生涯を神へ捧げるものと決まってしまった。





絶望に打ちひしがれたまま、レイモンドは十三になって成人の儀を終え、しばらくしてから、父の決めた有力貴族の娘と婚約した。