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裾に宝石を散りばめた豪奢なカーテンの隙間から覗く、白い三日月。
それを見つめながら、エレティナは静かに涙を流していた。
彼女は明日、神に嫁ぐ。
それは、この世に生まれた瞬間から決まっていた宿命だった。
エレティナはそのことを一度も疑問に思ったことなどなかった。
もちろん、今もそうである。
このラウレンダ王国で、太古の昔から変わらない風習。
この国は、国王の近親の女性を神殿の巫女として神に捧げることで、神の加護を受けて国の安泰を守ってきたのである。
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