「うーん…」

鳥の鳴き声で私は目を覚ました。

爽やかな風が塔の中に入ってきた。

何故か、目の前には白い封筒が置いてあるので、目を凝らしてよくみると、"愛美へ。父親より"と、書かれていた。

父親の名前…なんだっけ?

私は、産まれた時からこの塔に閉じ込められていて、来週で15年。

理由もよく分からず、15年を此所で過ごしている。

とりあえず、私は封筒を開けてみた。

私の記憶から、封筒の存在が消えてしまう前に…

ビリビリビリ…

封筒の紙が見事に破れる音がして、自分の不器用さに思わず失笑が漏れた。

やっとの思いで封筒を開けると、そこには白い色をした、いかにも"真面目な人が使います"オーラをだした便箋があった。

とりあえず、その2つ折りになっていた便箋を開くと、そこには見慣れない書き方の文字が並んでいた。

私、一応文字は読めるよ?

何故か週に1回、杉森舞美(すぎもり まいみ)さんっていう家庭教師さんが塔にやってきて、勉強を教えてくれているから。

って!ここで無駄話はストップね。

私は、その"真面目な人が使います"オーラをだした便箋に書かれている文字に、目を降ろしたんだ。