でも、なんか安心した。


ちゃんと会長にも人間らしい部分はあるって。





いや、もちろん人間なんだけどさ?

なんてゆーか、これ以上に冷酷非道じゃなくてよかったな、なんて。




「……いいから、帰ろ」



つくり笑顔なのか、自然な表情なのかは分からないけど、

優しく笑いかけながら差し出される手を、ぎゅっとつかんだ。


すごくあったかい。

結構嬉しいかもしれない。




「……はい」




もちろん、私の笑顔は、とびきりのつくり笑顔で。

絶対に、心の底からの笑顔なんかじゃない。────はず。