「…やだ。離して」

海斗くんの腕の中で抵抗する。

ギュッと私を抱きしめて、

「莉奈」

と私の耳元で、海斗くんが囁いた。

撮影の時と同じあの声で…

「ずるいよ。海斗くん」

私が抵抗するのを諦めると、海斗くんはそのまま私を、抱き上げてお姫様抱っこ。

そのまま黙って歩き始めた。