「いつの話だよ。もう10年前の事だろ?
それよりどこのお店?」

海斗くんが話を変えた。

「いつもの所」

「帰って来るたびに行ってないか?」

「いいじゃない。沖縄にしかないのよ?
私に取っては思い出の味なの」

「はいはい」

「ちょっと。そこは流さないで」

「いつもの所でいいんだろ?
もう少しで着くよ」

「え?もうそんなに近いの?」

「綾姉が喋ってばっかだったから」

と言って、海斗くんは目的地の駐車場に車を止めた。