「あ、そろそろいいんじゃない?
海に電話して見たら?」

「授業中じゃないの?」

壁にかかった時計を見ると、3時10分。

約束の時間より10分、過ぎていた。

「かけていいのかな?」

「海は莉奈の番号、知らないから莉奈からかけなきゃ。
海と約束してるんでしょう?」

「…うん」

「ほら」

綾子さんに背中を押され、バッグの中から紙を取り出す。

番号を押して、携帯を耳に当てた。