わたしの意地悪な弟

 日和は楽しそうに口にする。

 樹はさっきのはにかんだ笑みもすっかり消失させ、反発しあう磁石のように真逆の表情を浮かべていた。

 日和に知られたくなかったんだろうか。もしかして、わたしと出かけるよりは日和と出かけたほうがいいんだろうか。

 それとも三人でどこかに出かけたいんだろうか。

 人数が多いほうがきっと樹も楽しいだろう。

「日和も行く?」

「二人のデートを邪魔したら悪いもの。また今度誘ってよ。風呂入れるから」

 日和はそう言って含みのある笑みを浮かべると、わたしたちに否定する隙を与えず、自分の部屋に戻っていく。

 樹を横目で見ると、彼の頬がわずかに赤く染まっている気がした。

 日和と二人で行きたかったんだろうか。

 わたしはその疑問を樹にぶつける。

「日和と出かけたいなら、協力しようか?」

「は?」