「何で知っているの?」
「板橋先輩から聞いた」

 わたしはそれを聞き、言葉を飲み込んだ。

 樹の言うとおり、わたしはあまり中間テストの出来が良くなかった。そうはいっても一年の学期末テストよりは心なしか悪かった程度だ。

だが、樹の成績と比べれば劣等生と言われてもおかしくない。

彼は高校一年の最初のテストとはいえ、全科目満点を成し遂げていたのだ。

彼であれば一年後の試験もそれなりの成績を収めてそうだ。

「この映画、ずっと見たかったから、楽しみにしていたのに」

 わたしはタブレットをロックすると、肩を落とした。

「何の映画?」

 わたしは映画のタイトルを告げる。前評判もよく、CMなども頻繁に目にする。

 彼が興味を持ってくれたのだろうかと心を躍らせ、期待の眼差しを向けた。

 だが、わたしの期待を裏切るかのように、彼はわざとらしいため息を吐いたのだ。


「つまんなそうな映画だな。あとでDVDでも借りれば?」

 一瞬でも、期待したわたしがバカだったと思った時、樹が言葉を続ける。