わたしの意地悪な弟

 これで少しは歩み寄れたのだろうか。

 その答えはすぐには分からないが、樹の優しい表情がその答えのような気がした。

 わたしはほっと胸をなでおろす。

 これからもっとよい関係を樹と築いていけたらいい。

「でも、樹は悪戯っ子だよね。昨日も意味もなく、あんな嫌がらせをするんだもん」

 いつの間にか真顔に戻った樹が呆れ顔でわたしを見る。


「お前、あれが嫌がらせだって思うわけ?」

「違うの?」

 あんなことそうでなければしないはずだと思ったためだ。

 樹は頭を抱える。

「何か面倒になってきた。嫌がらせでいいよ」

「違うなら、何?」

 彼は冷たい目でわたしを見た。

「バカの相手をすると疲れる」

「樹に比べるとバカかもしれないけど、そんなにバカじゃないよ」

「どっちだよ」

「バカじゃない」

 その時、樹の手が伸びてきて、わたしの頬に触れた。

 心臓の跳ねを感じて樹を凝視する。

 だが、次に襲ってきたのは頬の痛みだ。

 彼はわたしから手を離す。