わたしの意地悪な弟

「今までごめんね」

「何が?」

「樹に対して愛想が悪かったなって思ったんだ。わざと可愛くないことを言ったりもして」

「そんなの慣れたよ」

「わたしね、樹にずっと嫌われているんだと思っていた」

 彼は驚きを露わにわたしをみる。

「別に嫌ってなんかいない」

「利香にもそう言われた。でも、引っ越したとき、樹はわたしのことをブスと言ったから」

 樹は居心地の悪そうな顔でわたしを見る。

「責めているわけじゃないの。わたし、樹のこと大好きだったんだ」

 その言葉に樹の顔が真っ赤に染まった気がした。でも、辺りを染め上げていく夕日がそう見せたのかもしれない。

「だから、その反動だと思う。樹のお姉さんになれてすごく嬉しかった。でも、ブスだって言われて、姉じゃないと言われて、すごく悲しかったんだと思う。日和やお母さんには優しいのに違いを感じていたの」

「あれは言葉のあやで、別に嫌ってなんかいない」

「そっか。よかった」