わたしの意地悪な弟

「昔、樹とここでよく遊んだよね。なんか懐かしくなっちゃった。いつも通っていたのに変な感じだね」

 その言葉に樹が目を見張る。

 わずかに頬が赤くなった気がした。

 樹がわたしの腕を引く。

「日和も心配しているから、早く帰ろう」

「日和?」

「日和が言っていたんだよ。お前が公園でぼーっとしていたと。だから、わざわざ来てやったんだよ」

「迎えに来てくれたの?」

 思いがけない言葉にとっさにそう反応する。樹の頬がより赤く染まる。

「お前があまりにバカで、見知らぬ人についていくかもしれないから、わざわざ来てやったんだよ」

 その乱暴な口ぶりとは違い、樹の表情はどこか柔らかい。

 今まで樹の言った言葉ばかり気にして、その奥にある表情を気に留めたことはなかった気がする。利香のいったことを実感した。

 なぜか分からないがわたしに対してだけは口が悪い。だが、それがわたしの彼への態度の裏返しであれば、ありえないことでもない。

 わたしは深呼吸をして、勇気を補てんした。