わたしの意地悪な弟

 彼は首を横に振る。

「俺がしつこく話をしたのが元凶なんだから、気にしないでくれると助かる。

でも、もったいないって思ったんだよな。あれだけ走れるのに、止めてしまうのは」

 わたしの脳裏に中学生時代の樹が蘇る。

「わたしもそう思って誘ったんだけど、逆効果だったみたいだね」

「大学受験があるからかもしれないな。でも、あれだけ成績よかったら妹さんの通う高校も入れたんじゃないの?」

 受かっていたとは思う。だが、受験に百パーセントはない。

「受験は水ものだから分からないけど、家族は樹がそこを受けるものだと思っていたんだ。近いって理由だけで、この高校を選んだから、いい大学に行かないとというプレッシャーがあるのかもね」

 そう言ったのは、素直な気持ちだった。

 彼は今でも優等生に見合う勉強量をこなしていたのだ。

「妹さんと同じ年だから、ライバルなのかもしれないな」

 半田君は納得したようだs。

 日和と樹はライバルというよりは親友のように見えるが、それは直接関係ない話だったので伏せておく。

「じゃあな」

 わたしは首を横に振る。