わたしの意地悪な弟

「どうして?」

「ばれて別れろと言われたら、困る。せめてもう少しは秘密にしておきたい」

「うちの親だとやりかねないね。特にお父さんがやばそう」

「樹もそう言っていたよ」

 わたしはそう苦笑いを浮かべる。

 受け入れてほしいという気持ちと、難しいのではないかという気持ちが葛藤して、やっぱり後者なのだろうかと、軽く気落ちをしていた。

「黙っているし、応援はしているよ。樹には彼女ができたけど言えないで問題ないでしょう」

「ありがとう。でも、わたしと樹が付き合って平気なの?」

「どうして?」

「義理でも兄弟だし、抵抗ないの?」

「わたしにとってはお兄ちゃんの樹より、お姉ちゃんを好きな樹のほうが先だもん。わたしは気にしないよ。

むしろ、樹が思い余って犯罪行為に走る危険性がなくなってよかったよ。お姉ちゃんに彼氏でもできようものならと内心ひやひやしていたんだよね」

 彼女は冗談とも本気ともとれるようなことを平然とした顔で言い、大げさに肩をすくめた。