わたしの意地悪な弟

 樹ならやりそうだと思ってしまう。

「でも、これからは拒まれないと分かったから、安心したよ」

 彼は身を乗り出して、わたしとの距離を縮めてくる。

 わたしが思わず後退すると、樹は笑った。

 冗談だったんだろうか。

 さっきキスをしてきただけに冗談で片づけるのは難しい気がするが。

 本当に意地悪だと思う。


 わたしは頬を膨らませたが、樹と目が合うとお互いに笑っていた。

 その笑いも不意に途切れる。

 わたしと樹は兄弟で、血の繋がりはないが結婚は出来る。

 だが、親から反対されるような恋愛はしたくないという気持ちはあった。

 わたしたちのことを何よりも考えてくれた両親に対してだからこそ、そう思う。

 わたしの親に関して言えば、日和の言っていたことが真理だろう。

 二人はわたしたちが隠れて付き合っていても、その事実にさえ気づかなさそうだ。