わたしの意地悪な弟

 わたし達は樹の部屋に入る。わたしの部屋だと日和の部屋が隣なのでなんとなく避けてしまったのだ。

そもそも日和がわたしと樹の話に興味を持つとは思わないが。

 いろいろ文句を言いたかったのに、いざ樹の部屋に入ると、お互いに意識してしまったのかしんと静まり返ってしまった。

 だが、勇気を振り絞り、問いかけた。

「わたし、樹の彼女になっていいの?」

「他に誰がいるんだよ」

「そうだけど」

「俺が好きなのは千波だけだよ。昔も、今も、これからも」

 樹はそういうと、わたしの右頬に軽くキスをした。

「今日はキスしすぎだよ」

 わたしが困った顔をして後退しようとすると、樹がその手をつかんだ。

「嫌?」

「嫌じゃないけど、恥ずかしい」

「そのうち慣れるよ」

 そういうものなんだろうか。

 幸せだったが、不意にわたしの心に疑問も湧き上がってくる。

「樹はわたしが好きだと知る前から、何回もキスしてきたけど、拒んだらどうしたの?」

「冗談ってことにして無理やり片づけたかな」