わたしの意地悪な弟

「これ以上邪魔はしないけど、適当なところで部屋に退避したほうがいいよ」

 彼女はそう言うと、扉を閉める。

 階段のあがる音が響いた。

 わたしは横目で樹を見ると、顔を染めた彼と目が合う。

「本当なの?」

「本当だけど、こんなタイミングでばらさなくてもよかったのに」

「でも、嫌われていたんじゃなくて良かった」

「だから、ずっと好きだったと言っただろう?」

 彼はそっとわたしの額にキスをする。

 ここではなにもされないと思っていたわたしの心臓が跳ねる。

「樹」

「もっとこうしていたいけど、さすがに両親が帰ってくるとまずいから、これを片づけて、部屋に行くか」

 樹は散らばったコーヒーの粉を指さした。

 わたしはさっきキスする瞬間を日和に見られたことを思い出し、その言葉に頷いた。