わたしの意地悪な弟

「どっちかが気持ちを伝えたら、こんなことにならなかったのかな」

「そうかもしれないな」

「何でかもなのよ」

「だって千波が俺を好きになったのは最近だよな。その前に伝えていたら、めちゃくちゃ避けられそうな気がするよ」

 確かに樹を好きになる前だったら、そうだったかもしれない。

 彼の仮定の話をすんなり受け入れられるのは、それだけ彼はわたしをよくみているということなのだろうか。

 樹がわたしの頭を撫でる。

「千波を好きになってずっと後悔していた。姉なんか好きになってどうなるんだろうって。

他の子を好きになろうと思ったこともあった。でも、家に帰ったらいつも千波がいて、幸せなのに、楽しいのに苦しかった。

届かないと分かっていたから、せめて同じ高校にも行こうと決めたんだ。徹底的に千波に彼氏ができるのを邪魔してやろうと思った」

「それってものすごく性格悪くない?」

 確かに春先の彼はそういう感じだったかもしれない。

 わたしは眉根を寄せて、樹を見る。